第7話 家族

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「小川の首、切ったりしないでくだせえよ。ああなるまで育てるのはたいへんなんだから。ねえ、アッコさん、お願いだ」

頭を下げた。

「わかった。悪いようにはしないから」

明希子は微笑んだ。

「でも小川君、センさんによく話したね。わたしには話してくれなかったのに。きっとセンさん、信頼があるんだね」

「そんなもなぁ、あるもんか」

仙田が捨て鉢なような笑みを浮かべた。

「クズさんなら相談にも乗れるんだろうけど、おれなんか、いっしょに飲むくらいしかできねえもんな。それに……」

仙田がまたぽりぽりと顎をかいた。

「それに、あいつもひねくれたとこあるからな。似たもんどうし、酔いも手伝ってつい口がなめらかになったんじゃないかね」

「ありがと、センさん」

明希子は仙田の眼の下の隈を見て言った。

「それから、あんまり飲みすぎないでね」

仙田がぷいと顔をそむけた。

「それじゃ」

工場に向かって歩いていった。

明希子は大きく深呼吸した。

なんということだ、と思った。

明希子も事務所に向かって重い足取りで歩きはじめた。

門から入ってくる男の姿が眼に入った。

明希子は立ち止まった。

高柳だった

SPECIAL THANKS
日本電鍍工業株式会社・伊藤麻美社長

EMIDAS magazine Vol.17 2007 掲載

※ この作品はフィクションであり、登場する人物、機関、団体等は、実在のものとは関係ありません

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