プラスチック成形金型用 離型薄膜 《 TIERコート® 》
TIERコート®は、東亜電化が開発したプラスチック成形金型用の高離型性被膜です。真空蒸着法により、フッ素系のナノ薄膜を形成することにより、離型剤を使用せずに透明エポキシ樹脂など接着性の高い樹脂の成形を可能にします。他にも、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの接着性樹脂に対し優れた離型効果を発揮します。
《TIERコート® の応用分野》
膜厚30nm程度の薄膜であるため、マイクロレンズ成形用の金型などに処理しても、微細な形状を損なうことがありません。携帯電話・ゲーム機の光学フィルム成形用の金型や、光ディスク 微小レンズ成形用の金型など、先端分野への活用が期待されます。
《TIERコート® の主な特性》
化学結合により強固に密着するため被膜の耐久性が高く、熱可塑性樹脂の成形において、15万ショット以上の実績があります。
膜厚が30nmと薄く均一なため、従来のような成形の都度、離型剤を塗布する工法に比べ、生産効率・良品率が大幅に向上します。
また、優れた撥水性を有し、汚れ付着防止にも効果を発揮します。さらに、再コーティングも可能なため、金型の再利用が可能です。
《TIERコート® の物性等》
1.膜厚:30nm程度
2.接触角:エタノール55~60°
3.耐溶剤性:以下の溶剤への浸せき試験後に離型性の低下がありません。
n-ヘキサン、シクロヘキサン、イソプロピルアルコール、エタノール、
キシレン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、
アセトン (試験条件:室温で360時間浸せき)
4.膜形成可能な金型材料
鉄系材料、ステンレス系材料、クロムめっき、無電解ニッケルめっき、
電気ニッケルめっき(電鋳ニッケル)
5.成形時の金型温度:~250℃
※TIERコート® は有機系薄膜のため、硬い物(金属、ガラスフィラー等)で擦るとキズがつき、その効果が損なわれます。